【1月9日 AFP】マレーシアの政府系ファンド「ワン・マレーシア・デベロップメント(1MDB)」に絡む巨額資金流用事件をめぐり、中国当局が2016年、マレーシア側に中国の広域経済圏構想「一帯一路(One Belt One Road)」への協力と引き換えにファンドの救済を申し出た上、不正流用疑惑への外国当局の捜査に対して影響力を行使することを提案したと、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。

 報道を受けマレーシアのリム・グアンエン(Lim Guan Eng)財務相は8日、内容については確認していないとしたものの、調査する意向を示した。

 WSJがマレーシア・中国当局者の間で行われた会合議事録の内容として報じたところによると、当時のマレーシア首相、ナジブ・ラザク(Najib Razak)被告が関与したとされる疑惑への米国などによる捜査をやめさせるため、中国側が自国の影響力を行使してみようと提案したという。

 1MDBをめぐっては、ナジブ前首相とその取り巻きが巨額の資金を着服していたとの疑惑が浮上し、昨年の総選挙で前首相率いる長期連立政権は敗北を喫した。

 着服された資金は国際規模の複雑なネットワークを通じてマネーロンダリング(資金洗浄)されたとみられ、シンガポールをはじめ米国、スイスなども捜査を始めた。捜査は現在も続いている。

 さらにWSJによると、1MDBをめぐる疑惑を調べていた同紙記者に情報をリークしていた人物を突き止めるため、中国側は香港にある記者の自宅や職場を盗聴することも提案していた。

 また、マレーシア側は見返りとして、アジア・欧州・アフリカにまたがる広域経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国に鉄道やパイプライン事業の権益を約束。その後、数か月以内に中国系銀行の支援を受けた中国国営企業と巨額の契約を締結したという。(c)AFP/Sam Reeves