【1月11日 AFP】レスリング・フリースタイル女子で五輪3連覇を果たした吉田沙保里(Saori Yoshida)が10日、引退記者会見を開き、2020年東京五輪への迷いがありながらも競技から退く決意を語った。

 吉田は「レスリングは全てやり尽くしたという思いがあり、引退を決断した」と話すと、東京五輪出場へ「迷い」があったことを認めつつも、最終的には若手選手にバトンを渡す時期だと判断したと明らかにした。

 三重県出身で36歳の吉田は、女子55キロ級で出場した2004年アテネ五輪から2012年ロンドン五輪まで五輪3連覇を達成したが、53キロ級で臨んだ2016年リオデジャネイロ五輪では銀メダルに終わり、惜しくも4連覇を逃した。

 リオ五輪で米国のヘレン・マルーリス(Helen Maroulis)にまさかの敗戦を喫して涙を流した吉田は、獲得した通算17個のメダルのうち最も印象に残っているのは、この時の銀メダルだったといい、「あの試合で負けた人はこういう気持ちなのだと感じた」と語った。

 父親が開いていたレスリング教室で3歳の時から競技を始めた吉田は、2002年にレスリング世界選手権(UWW World Wrestling Championships)初制覇を記録して以降、世界大会で13大会連続優勝を達成し、この功績がたたえられて国民栄誉賞を受賞した。

 今後は代表チームでコーチ陣の手助けをするつもりであると明かした吉田は、「来年は東京五輪があるので、その手助けをしたい」「指導者の経験はないけれど、自分にできることをやっていきたい」と語った。(c)AFP