■限られる用途

 NFTは、空港もヘリポートも必要ない、飛行機と自動車が一体となった製品を目指している。「私たちはドアツードアの移動を提供したい」とガイ氏は説明する。

 同社の空飛ぶ車は電動で、航続距離500キロ、走行距離100キロを目指しており、スマートフォンの地図アプリをクラウド上のナビゲーションセンターとつなげれば、離陸場所を案内したり、陸上での自動運転の指示をしたりすることも可能となるという。

 同社は、早ければ2024年にも米連邦航空局(FAA)の許可を取得し、来年末には試運転を実施できると見込んでいる。

 ガイ氏は、長期的には、空飛ぶ車は自家用車としてではなくライドシェア(相乗り)の一形態として活用されるのではないかと考えている。

 米調査会社ガートナー(Gartner)の自動車アナリスト、マイク・ラムジー(Mike Ramsey)氏は、自律飛行する乗り物の実現は近いが、現在人々が利用している移動手段への影響はないだろうと語る。

 同氏は、価格や規制、バッテリーの寿命などは、空飛ぶ車が直面する問題のほんの一部にすぎないと指摘する。「空飛ぶ車で移動しているのが1人だけなら素晴らしいと思えるが、一つの都市で500人もが空飛ぶ車で飛び回っていたら大混乱となる。自動車のような一般的な移動手段になることはないだろう」

 ラムジー氏は、空飛ぶ車は低価格で利用できる、医療用ヘリコプターや軍事輸送の代替や起伏の激しい地方への移動手段として活用できると指摘した。(c)AFP/Glenn CHAPMAN