【1月7日 AFP】ベネズエラのニコラス・マドゥロ(Nicolas Maduro)大統領の元側近で、同国最高裁判事のクリスティアン・セルパ(Christian Zerpa)氏が米国に亡命したことが6日、明らかになった。

 セルパ氏は米マイアミのスペイン語テレビ局の番組に、選挙について論じるパネリストの一人として出演。10日の2期目の就任式を目前に、ベネズエラ国民議会から大統領職の違法性を指摘されているマドゥロ氏をやり玉に挙げた。

 セルパ氏は「私はベネズエラを離れることにした…マドゥロ政権と関わらないために」と発言。また昨年のベネズエラ大統領選について「あれは自由選挙ではなかった。競争のない選挙だった」と述べ、さらにマドゥロ氏が司法に介入していたと非難した。

 ベネズエラ最高裁は6日、セルパ氏が国外へ逃亡したと発表した。最高裁によると、セルパ氏には職場で複数の女性にセクシュアルハラスメント(性的嫌がらせ)を行っていた疑いがあり、捜査を開始したという。

 しかし、米国を拠点とするベネズエラ人ジャーナリストらは、セルパ氏の出国理由はマドゥロ大統領の続投にあると指摘。セルパ氏本人に取材した記者は、同氏はフロリダに滞在しており、祖国の汚職と人権侵害にメスを入れるために米国の検察当局に協力する用意があると報じた。

 野党勢力が多数を占めるベネズエラ議会の新会期は、セルパ氏出国前日の5日に開会。議会はマドゥロ氏の大統領職は違法と断じ、暫定政権による民主選挙の実施を要請した。

■マドゥロ氏はあくまで正当性を主張

 一方のマドゥロ氏は議会の要請に対し、ツイッター(Twitter)で「(政権の)正当性は国民の投票によってもたらされたものだ。われわれの意思をくじこうとする人々にはっきり言っておく。ベネズエラの意思は尊重される」

 昨年5月20日に実施された大統領選でマドゥロ氏は再選を果たしたが、この選挙はマドゥロ政権が政治工作で発足させた制憲議会が実施したもので、野党はボイコットし、知名度の高い野党指導者は自宅で軟禁状態にあったか出馬を禁じられていた。

 米国や欧州連合(EU)、カナダを含めた米州諸国から成る「リマ・グループ(Lima Group)」12か国は昨年のベネズエラ大統領選の結果を承認していない。リマ・グループは4日、マドゥロ氏に退陣を促し、暫定政権に権限を委譲するよう要請した。(c)AFP/Esteban ROJAS