■待たれる遺体発掘?

 ザーク氏は1930年代のカルマンさんの身分証明書に記載されている身体的特徴と、後年の実際の容姿が異なる点を指摘する。身分証明書には、カルマンさんは身長152センチで、目の色は濃い茶色、額は狭いと記されている。いずれも、後年のカルマンさんの外見と全く一致しない特徴だ。

 一方、老年学者のノボセロフ氏は「医師として、常にカルマンさんの年齢に疑問を持っていた」と主張する。「カルマンさんの筋肉組織の状態は、同年代の人々と違った。何の支えもなしに上体を起こして座っていられた。認知症の兆候も全くなかった」

 さらに疑惑を深める要素として2人は、カルマンさんが有名になってから、昔の自分の写真の一部を燃やしてくれと指示していた点を挙げている。

 一方、カルマンさんのギネス世界記録認定に携わったフランスの人口統計学者・老年学者のジャンマリ・ロビヌ(Jean-Marie Robine)氏は、カルマンさん関連の「文書の信ぴょう性に疑いを抱いたことは一度もない」とAFPの取材に語った。

 また、カルマンさん死亡時にアルル市長だったミシェル・ボゼール(Michel Vauzelle)氏は、カルマンさんは多くの医師の診察を受けていたとして、ロシア人研究者らの説は「全くあり得ないばかげた話」だと反論している。

 仏国立人口研究所(INED)のニコラ・ブルアール(Nicolas Brouard)氏は、「ザーク氏が(ギネス審査とは)独立した、しかし同じ領域をカバーする研究を行ったのは良いことだ。非常に優れた研究であり、カルマンさん母子の遺体発掘調査を支持する主張だ」と述べ、論争に終止符を打つことになるのはDNA検査だろうとの見方を示した。

 仮にカルマンさんのギネス記録が無効となった場合の史上最高齢記録は、1999年に亡くなった米国人サラ・クナウス(Sarah Knauss)さんの119歳となる。(c)AFP/Victoria LOGUINOVA-YAKOVLEVA