【1月6日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のニューヨーク・ニックス(New York Knicks)に所属するトルコ人センターのエネス・カンター(Enes Kanter)が、今月予定されているチームの英国遠征に同行しないことを明かした。トルコのスパイに命を狙われる恐れがあるからだという。

 以前からトルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領を公然と批判しているカンターは、「あの頭のおかしな異常者、トルコ大統領のせいで」17日にロンドンで行われる試合に同行できないとチーム幹部に伝えた。

 カンターは、欧州に入ればトルコの工作員の標的になると信じて疑わず、「そうとも、簡単だ。向こうにはスパイが大勢いる。俺を殺すくらい簡単だ」と話している。

「行ったら殺される可能性がある。だからフロントに、こちらに残って練習すると話した」「自分のキャリア、バスケットボールに影響が出ることがすごく悲しい。本当は行きたいのに、あの頭のおかしな野郎、たった1人の異常者のせいで向こうへ行って仕事ができないんだ。すごく悲しいよ」

 ニックスは広報を通じて、ビザの問題でカンターが遠征に参加しないとだけ話している。

 スイス生まれのカンターは、以前からエルドアン大統領の政敵フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師支持を表明している。

 昨年5月には、自身の慈善団体がらみで世界を周っていた最中にトルコのパスポート(旅券)が取り消され、ルーマニアの空港で拘束された。この時は数時間で自由になったが、本人は政治思想を問題視されたからだと考えており、その後に戻った米国では、トルコへ連れていかれるのではないか不安だったと話している。

 またトルコのメディアは2017年12月、大統領を侮辱した罪で、検察当局がカンターに禁錮4年以上の刑を科そうとしていたと報じた。(c)AFP