【1月7日 Xinhua News】中国の月探査機「嫦娥4号」が3日、月の裏側に着陸した。中国科学院月・宇宙探査本部の鄒永廖(Zou Yongliao)主任は、月の裏側には特有の性質があり、嫦娥4号が着陸したのはこれまで実地探査が行われていない未開の地であることから、画期的な発見が得られる可能性もあると話す。

 ▽未知の世界

 宇宙探査機がなかった時代、月の裏側はずっと神秘的な未知の世界だった。

 月へ向かう探査機が増えるにつれて、月の裏側が表側とは大きく異なることが分かってきた。鄒氏によると、物質の成分から外観や構造、岩石の年齢に至るまで、表側と裏側では大きな違いがある。

 また、月の裏側の地殻は最大で厚さ150キロにもなるが、表側の地殻は約60キロにすぎない。なぜこれほどの違いがあるのかは、謎のままだ。科学者たちは多くの仮説を立ててきたが、実際に着陸探査が行われて初めて、謎の解明への道が開ける。

 ▽うれしいサプライズに期待

 鄒氏は今回の着陸について次のように語った。嫦娥4号が着陸した南極エイトケン盆地は現在未開の地であり、科学的に多くの新発見が得られるだろう。

 南極エイトケン盆地は太陽系全体で最大かつ最も深い盆地で、直径約2500キロ、深さは10キロ余り。同地であれば月の深部にある物質の情報が得られ、科学的に驚くべき成果がもたらされるに違いない。

 太陽系は46億年の歴史があり、39億年前に小天体衝突のピークが出現した。なぜピークが39億年前で、それ以前ではなかったのか?同地で詳細な探査を展開することにより、この科学上の謎が解けるかもしれない。

 ▽宇宙の音に耳を傾ける

 天文学者たちは、完全な静寂に包まれた地域を見つけ、宇宙の深部から発せられる微弱な電波信号を捉えることを望んできた。地球上では人々の日常的な生産や生活がもたらす電磁環境により、こうした観測は深刻な干渉を受けてしまう。しかし、月自体が地球から来る各種の無線による干渉信号を遮るため、月の裏側は貴重な静寂の場所だ。

 このような場所での天文観測は、太陽や惑星、太陽系外の天体を研究する上で重要な手段であり、恒星の起源や星雲の進化の研究にも重要な資料を提供できる。(c)Xinhua News/AFPBB News