【1月4日 AFP】マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)米国務長官は3日、米軍撤退後のシリアでトルコ軍がクルド人を「虐殺」しないようトルコ側に働き掛けていることを明らかにした。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領がシリアからの米軍撤退を表明したことを受け、米国との同盟の下でシリア北部に展開してきたクルド人勢力がトルコの軍事作戦の脅威にさらされているとの懸念が高まっている。

 ポンペオ氏は米保守派メディア「ニュースマックス(Newsmax.com)」とのインタビューで、トランプ氏の急な決定を擁護する一方、「トルコがクルド人を虐殺しないよう保証し、シリアの宗教的少数派を保護することが重要だ。これらは全て今も米国の任務の一部だ」と述べた。

 トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は、シリア最大のクルド人民兵組織「クルド人民防衛部隊(YPG)」について、トルコ国内で1984年から反政府活動を行う非合法武装組織「クルド労働者党(PKK)」との関与を指摘し、シリアから一掃すると宣言している。

 YPGは、米主導の有志連合の支援を受け、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」と戦ってきた反体制派組織「シリア民主軍(SDF)」の中核を占める勢力だ。SDFはシリア全土の約4分の1を支配下に置く。

 こうした中、シリア政府は2日、北部の対トルコ国境にある要衝マンビジ(Manbij)から数百人規模のYPG部隊が撤退したと発表した。YPGは2016年にISからマンビジを奪還し、米軍に支援されてイスラム過激派との戦闘を継続していたが、米軍撤退の報を受けて先週、シリア政府軍にマンビジへの展開を要請していた。(c)AFP