【1月4日 AFP】ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis)は3日、米国の司教らに宛てた書簡の中で、マーケティング手法やフローチャートでは、性的虐待スキャンダルに揺れる同教会に対する信頼を回復することはできないと指摘し、警鐘を鳴らした。

 フランシスコ法王は、「信頼の喪失には、特別なアプローチが必要だ。厳しい布告を出したり、単に新しい委員会を創設したり、人事部の担当者のようにフローチャートを改善したりするのでは、失われた信頼を取り戻すことはできない」と述べた。

 さらに、古い歴史を持つローマ・カトリック教会を再興する取り組みは、「失った名声を取り戻したり、称賛を求めたりするためのマーケティングや戦略立案に関心を持つのではなく」、信頼回復に基づくものでなければならないと指摘し、教会の使命を「伝道ビジネス」の管理におとしめないようにと警告した。

 米国の司教らは、法王が2月にバチカンで招集する歴史的な集会を前に、シカゴ地区の神学校で祈祷(きとう)集会を開き、ローマ・カトリック教会を揺るがしている危機について協議した。

 昨年12月には未成年者に対する「不品行」を理由とする米国の補佐司教の辞任を法王が認めるなど、世界中に13億人の信者を持つローマ・カトリック教会は相次ぐ児童性的虐待スキャンダルで揺れている。

 相次ぐスキャンダルへの対処をめぐりローマ・カトリック教会内で意見が鋭く対立する中、教会の権威は低下。法王は問題解決に向けて悪戦苦闘している。(c)AFP