【12月29日 AFP】イタリアのジュセッペ・コンテ(Giuseppe Conte)首相は28日、26日に行われた同国セリエAのインテル(Inter Milan)対ナポリ(SSC Napoli)戦の前にインテルファン1人が死亡したサポーター同士の衝突事件を受け、リーグ戦の中断を勧告した。問題の試合は、選手に人種差別的なチャントも浴びせられ、暗い影を落としていた。

 セリエAは今週末、3週間のウインターブレークを控えた前半の最終戦が行われる予定となっている。コンテ首相はローマで開いた年末の記者会見で「リーグ戦を中断してでも、関係者には有意義に反省する時間を取ることを強く要請したい」「しかしながら、決断は有能な責任者に委ねる」と述べた。

 ミラノ(Milan)で行われた26日の試合前には、インテルの本拠地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)に到着したナポリファンのミニバスに、インテルサポーター約100人が襲い掛かって小競り合いとなり、インテルファンのダニエレ・ベラルディネッリ(Daniele Belardinelli)さんが車にひかれて亡くなった。

 インテルファンと近しいASヴァレーゼ(AS Varese 1910)のサポーターでもあるベラルディネッリさんは、過去に暴動騒ぎに関与して2007年から2017年までサン・シーロ・スタジアムへの出入りを禁止されていたという。

 またコンテ首相は、ナポリのセネガル人DFカリドゥ・クリバリ(Kalidou Koulibaly)にモンキーチャント(猿の鳴きまね)が浴びせられたことについても「非常に深刻に」受け止めていると懸念を示しており、「全員が断固とした態度を取る必要がある」と述べると、違反者に対する「罰則強化」を図るためにスポーツ相と話し合う意向を明かした。

 一方リーグ側はすでに、インテルに対して人種差別的なチャントへの処罰としてホームゲーム2試合の無観客処分を言い渡したほか、インテルファンにも、29日に敵地で行われるエンポリ(Empoli)戦への遠征を禁じた。

 リーグ3位につけるインテルのルチアーノ・スパレッティ(Luciano Spalletti)監督は、「ファンの目の前でプレーできないのは非常に遺憾だが、この問題との闘いに勝つために、われわれがなすべきことであれば喜んで受け入れる」と述べた。

 イタリアサッカー連盟(FIGC)のガブリエレ・グラビーナ(Gabriele Gravina)会長は、リーグ側をはじめイタリアオリンピック委員会(CONI)や閣僚らと協議した上で、試合は予定通り実施することに決めたと強調している。(c)AFP