■最大の投資パートナー

 中国は過去20年で世界の経済大国として頭角を現し、同時にアフリカでの存在感も増大させた。

 保守系シンクタンク・経済研究機関アメリカン・エンタープライズ研究所(AEI)の調査によると、中国は海外投資および海外での建設事業に、2005年から2018年で計1兆8700億ドル(約210兆8000億円)を費やしている。このうち2980億ドル(約33兆5000億円)がサハラ以南のアフリカ向けで、アフリカは中国にとってアジア、欧州に次いで3番目の投資先だった。

 結果、アフリカにとって中国は、インフラ投資の最大のパートナーになった。中国の投資額は、アフリカ開発銀行(ADB)、欧州連合(EU)、国際金融公社(IFC)、世界銀行(World Bank)、先進7か国(G7)にロシアを含めたG8の投資総額を上回っていた。

 中国の投資先の1位はナイジェリアで492億ドル(約5兆5500億円)、2位がアンゴラの245億ドル(約2兆7600億円)、3位がエチオピアで236億ドル(約2兆6600億円)だった。事業別では、道路、鉄道、橋などの交通インフラとエネルギー関連がそれぞれ全体の3分の1を占め、鉱業がそれに続いた。

 中国の投資は現在、アフリカの債務全体の約5分の1を占めており、国際通貨基金(IMF)などは、アフリカ諸国の返済能力に懸念を示している。だが、アフリカ諸国の多くの政府が、そのような懸念は大げさで偽善的だと思っていると、アラブロ氏は指摘する。

 アフリカのリーダーらは、世界の経済市場を活用できることに気付き、またIMFや欧米諸国との2か国間融資よりも、中国からの融資の方が有利であることを実感し始めた。とはいえ、このような大規模取引においても問題がないということはしっかりと確認すべきだとアラブロ氏は指摘する。同氏はその例として、契約の透明性、貧困国における法的・技術的・倫理的なセーフガードの盛り込み、竣工済み事業の運営管理とその利益が中国にとって有利に働く内容となっていないかなどの問題を挙げた。