【12月25日 AFP】もじゃもじゃの白いひげ、恰幅(かっぷく)の良い体、キラキラ光る目は、まるでサンタクロースのようにも見える。がらくたからおもちゃや操り人形を作るイタリア人のマリオ・コリーノ(Mario Collino)さんは、ピノキオ(Pinocchio)を作ったゼペットじいさん(Mister Geppetto)のような存在だ。

 コリーノさんは「アラジン(Aladdin)」の魔法の洞窟みたいな作業場でおもちゃを作り、それを詰め込んだ袋をカートに乗せて街に出掛け、「プレッツェモーロ(Prezzemolo、パセリじいさん)」の名前で大道芸をする。

 ミシュラン(Michelin)のタイヤ工場で機械工として働いていたコリーノさんは退職後、生まれ故郷のピエモンテ(Piedmont)州で30年近く民家を訪ね歩き、高齢の住民に子どもの頃に遊んだおもちゃの話を聞いて回っている。そして彼らの思い出のおもちゃのスケッチを描き、イタリア北部クネオ(Cuneo)近郊にある「アラジンの洞窟」のような作業場で、がらくたからおもちゃを作る。

 おもちゃが出来上がると、コリーノさんはそれを持って住民の元を再び訪れる。「おもちゃが記憶の中のものと同じかどうか彼らに確認し、そのおもちゃにその人の名前を付けていいか尋ねる」

 コリーノさんが再現したおもちゃや操り人形などは今や138個に上り、学校や介護施設、市場などで行うパフォーマンスに使っている。