【12月24日 AFP】日本人に生まれても、外国籍を取得すれば日本国籍を失うとする日本の国籍法の規定は憲法違反だとして、海外に住む日本人らが日本政府を相手取って訴えを起こしている。二重国籍になった時点でやむを得ず日本国籍を離脱した日本人は、100万人に上るとも推計される。原告らは、国籍法の規定は「時代遅れ」だとして、日本国籍保持の確認や制度の改正を求めている。

 白石由貴(Yuki Shiraishi)さん(34)は東京の空港の入国審査場を通過した時、情けなさに打ちひしがれたという。両親が日本人用のレーンを素早く通り抜けていった一方で、白石さん自身はスイスのパスポート(旅券)を目立たないようにしながら、外国人の列に並んでいたのだ。

 海外で生活する日本人には、白石さんのように、二重国籍になったために日本国籍を放棄することを余儀なくされた人が大勢いる。日本は、世界で50か国ほどにとどまる、二重国籍を認めていない国の一つだ。

 この問題が改めて注目されるきっかけになったのは、今年9月、女子テニスの大坂なおみ(Naomi Osaka)選手が全米オープンテニス(US Open Tennis Championships 2018)で優勝し、日本勢初の四大大会制覇という快挙を達成したことだ。21歳の大坂選手は、日本人の母とハイチ人の父の元に日本で生まれ、米国で育った。

 大坂選手は現在、日本と米国の二重国籍を持っている。日本政府が特例として黙認しない限り、どちらの国籍を選ぶかを22歳の誕生日までに決定しなくてはならない。

 白石さんは、制度の変更を求めて闘っている。時代に合わなくなっていると一部の専門家からも批判される二重国籍禁止規定の見直しを求めて、法務省を相手取って仲間たちとともに訴訟を起こしたのだ。