【12月23日 AFP】世界で最も有名なクリスマスキャロルの一つ「きよしこの夜(Silent Night)」は、今年のクリスマスイブに初演から200年を迎える。24日には、まさにちょうど200年前に「きよしこの夜」が初めて演奏されたオーベルンドルフ(Oberndorf)村の礼拝堂で記念行事が行われる予定だ。

 ザルツブルク(Salzburg)近郊にある同村の観光所長を務めるクレメンス・コンラート(Clemens Konrad)氏は、いつもならクリスマスイブの来訪客は3000~4000人だが、今年は約6000人を見込んでいるとAFPに語った。

 世界的に知られ、300の言語や方言に翻訳されるまでになった「きよしこの夜」の起源は、ナポレオン戦争後の貧困に苦しんでいたオーベルンドルフの村人たちを癒やそうと考えたヨゼフ・モール(Joseph Mohr)司祭が1816年に書いた6行詩という、つつましやかなものだった。

 その2年後にモール司祭は、教師や聖歌隊の指揮者、オルガン奏者を務めていた友人のフランツ・クサーバー・グルーバー(Franz Xaver Gruber)氏に、その詩に曲を付けてほしいと依頼。「きよしこの夜」は1818年12月24日、オーベルンドルフ村のつましい礼拝堂に集まった、信者である労働者とその家族たちの前で初めて演奏された。

 それから40年近くが過ぎた1854年、グルーバー氏は「きよしこの夜」の起源について記した著書の中で、この歌を初めて演奏した時、礼拝の参列者たちは皆この歌を受け入れてくれたと回想している。

 その後、「きよしこの夜」は「ライネルシンガーズ(Rainer Singers)」や「シュトラッセルシブリングス(Strasser Siblings)」という移動楽団がレパートリーに加え、欧州各地や米国などで披露したことから、オーストリア国外でも知られるようになった。

 ローマ・カトリック教会のフランシスコ法王(Pope Francis)は24日にオーベルンドルフ村で開かれる200年記念礼拝には出席できないにしても、好きなクリスマスキャロルは「きよしこの夜」だと公言している。

 観光所長のコンラート氏によれば、今年は訪問先にオーベルンドルフ村を組み込んだツアーも多く、スリランカや日本からの訪問客がいたという。(c)AFP