【12月22日 AFP】中米諸国からの移民による難民申請を制限する米大統領令の執行が差し止められていた問題で、米最高裁判所は21日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)政権による差し止め解除の申し立てを却下した。不法移民の厳格な取り締まり目指すトランプ大統領にとっては、新たな痛手。

 同大統領は、メキシコから越境した移民による難民申請を自動的に拒否する大統領令を出したが、サンフランシスコ連邦控訴裁判所が執行の差し止めを命令。政権は差し止めの解除を求めたものの、最高裁がその申し立てを却下した。

 難民申請の制限をめぐり複数の訴訟が行われる中、最高裁は今回の判決にコメントをつけなかったが、差し止めを解除して大統領令執行を認める判断を支持した判事が9人中4人に上ったことを明らかにした。

 この4人は、クラレンス・トーマス(Clarence Thomas)、サミュエル・アリート(Samuel Alito)両判事と、トランプ氏が指名したニール・ゴーサッチ(Neil Gorsuch)、ブレット・カバノー(Brett Kavanaugh)両判事。

 大統領令はトランプ氏が11月9日に署名したもので、主にグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル出身の移民が無許可で米国に入る流れを止めることを目的としていた。そうして米国に入った移民の多くが、母国にまん延する暴力と貧困を理由に難民申請を行っている。

 移民らは引き続き、国境を越えた後でも裁判所に出頭して難民申請をすることができる。

 ただし、トランプ政権は20日、すべての不法入国者をメキシコに送り返し、難民申請の処理が済むまで米国に滞在させない方針を発表している。(c)AFP