【12月20日 AFP】日本の水産庁職員は20日、政府が国際捕鯨委員会(IWC)を脱退する意向だと明らかにした。政府は来年にも商業捕鯨再開の準備を進めるものとみられている。国際社会からの反発は必至で、捕鯨・反捕鯨国間の溝が一層深まることも懸念される。

 AFPの取材に応じた水産庁職員は、89か国が加盟するIWCからの脱退も含め「あらゆる選択肢を検討している」と表現。一方で政府の捕鯨政策に変更はないと強調したものの、共同通信(Kyodo News)は匿名の政府筋の話として政府が年末までにIWC脱退を正式に決定する見通しだと報じた。

 今年9月、ブラジルで開かれたIWC総会で、商業捕鯨再開に関する日本の提案が採決されたものの、反対多数で否決された。これを受け、谷合正明(Masaaki Taniai)農林水産副大臣は結果に遺憾の意を表明し、「日本はIWC加盟国としての立場を根本的に再検討することを迫られる」と述べてIWC脱退の可能性を示唆した。

 採決で反対票を投じたのはオーストラリアや欧州連合(EU)加盟各国、米国をはじめとする反捕鯨国で、加盟89か国のうち賛成は27、反対は41だった。

 共同通信の報道によると、日本はIWCを脱退したとしても南極海では捕鯨を行わず、日本近海および日本の排他的経済水域(EEZ)内で行うことを視野に入れているという。(c)AFP