【12月20日 AFP】フィリピンに暮らすティモシー(Timothy)君にとって、その人は、いつも親切な手紙や贈り物をくれる米国人の支援者「G・ウォーカー(G. Walker)」さんだった。恩人の本名は、ジョージ・ハーバート・ウォーカー・ブッシュ(George Herbert Walker Bush)――先月死去した第41代米大統領、ジョージ・H・W・ブッシュ(George H.W. Bush)氏だった。

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 キリスト教系の国際児童支援団体「コンパッション・インターナショナル(Compassion International)」は今週、ブッシュ元大統領が10年間ひそかにティモシー君を経済的に支援していたことを初めて明らかにし、心温まる手紙の一部を公開した。

「君の新しい文通相手になりたいんだ」──2002年1月24日付の1通目の手紙には、こうつづられている。「私は老人、77歳だ。でも、子どもが大好きでね。まだ会ったことはないけれど、もう君のことが大好きなんだ」。この手紙の中で元大統領は、テキサス州に住んでいると明かしていた。

 ブッシュ元大統領は2002年にティモシー君の後援者となり、2012年にティモシー君への支援プログラムが終了するまで毎月、資金援助を続けていた。その間、後援者の正体がブッシュ元大統領だという事実は安全上の懸念から秘匿されていた。

 ただ、ティモシー君への手紙には時折「G・ウォーカー」氏の正体を示唆する内容が含まれていた。たとえば、「クリスマスにホワイトハウス(White House)に行ってきたよ。ほら、(米首都)ワシントンのホワイトハウスでもらった小冊子をあげよう」といった調子だ。

「君が学校やスポーツが好きだといいのだが。私は好きだ。もう老人で、78歳になってしまったが、気持ちは若いつもりだよ」という手紙もあった。ティモシー君が、絵を描くのが好きで、ギターを弾いたりバスケットボールをしたりすると手紙に書いたところ、プレゼントが贈られてきたこともあった。「お手紙とスケッチブック、色ペンに色鉛筆まで、ありがとうございます」とティモシー君は2004年の返信に記している。

 コンパッション・インターナショナルによると、ティモシー君は17歳で支援プログラムから卒業した。その際、文通相手の身元を明かしたところ、ティモシー君はあぜんとしていたという。

 その後、ティモシー君との連絡は途絶えてしまったが、コンパッション・インターナショナルのウェス・スタッフォード(Wess Stafford)氏は「どこにいるかは分からなくても、うまくやっているに決まっている」と米CNNにコメント。ブッシュ元大統領がティモシー君の人生に与えた影響は大きかったはずだと語った。(c)AFP