【12月19日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領の発令した入国禁止令により、米国で死期が迫っている息子との面会を阻まれていたイエメン出身の母親に対し、米当局は18日、同禁止令の適用を免除しビザ(査証)を発給した。一家を支援した米国の人権擁護団体が明らかにした。

 アブドラ・ハッサン(Abdullah Hassan)ちゃん(2)は脳に希少な遺伝性疾患があり、米カリフォルニア州オークランド(Oakland)の病院で生命維持装置につながれている。

 アブドラちゃんは父親と同じ米国人だが、母のシャイマ・スウィラ(Shaima Swileh)さんはイエメン出身で、同国を含むイスラム圏5か国と北朝鮮の計6か国を対象にした入国禁止令のため、息子と過ごすことができなくなっていた。

 アブドラちゃん一家を支援した米イスラム関係評議会(Council on American-Islamic RelationsCAIR)によると、父親が涙ながらに訴える様子がテレビで放映された後、エジプトの首都カイロの米国大使館がスウィラさんのビザを発給した。スウィラさんは米国に飛び立つためエジプトに滞在していた。

 同一家によると、メディアの注目が集まる以前、米当局からの回答では申請手続きは処理中との自動返答が続いていたという。

 オークランドの民主党下院議員バーバラ・リー(Barbara Lee)氏はこの問題を取り上げ、トランプ氏の入国禁止令がどれほど「非人道的で非アメリカ的」であるかが示されたと批判。17日夜、ツイッター(Twitter)に「議員として、また一人の母親として、母親が病気の子と再会するのを妨げるという残酷さに言葉を失う」と書き込んだ。(c)AFP