■黒人選手の比率低下にあらがう

 1947年に伝説的選手のジャッキー・ロビンソン(Jackie Robinson)氏が米大リーグ(MLB)で人種の壁を壊して以降、黒人選手は野球界で素晴らしい輝きを放ってきた。1979年にワールドシリーズを制したピッツバーグ・パイレーツ(Pittsburgh Pirates)では、先発レギュラー陣の中に黒人選手5人とラテン系選手が1人含まれており、これは歴代1位の数字となっている。

 ところが、1970年代と80年代には先発陣のうち黒人選手の比率が18~20パーセントを占めていたものの、2016年にはその比率がチーム平均で6.8パーセントにとどまっている。米国では総人口の13.4パーセントが黒人であり、それを大きく下回る数字となっている。

 メイミー・ジョンソンで会長を務めるキース・バーンズ(Keith Barnes)氏は、2015年にこの状況を何とかしなければと決意してチームを創設。同氏は練習後にダッグアウトでAFPの取材に応じ、「もっとアフリカ系米国人が野球をプレーする姿を見たかった。彼らの多くはアメフトやバスケットボールをしている」と語った。

 バーンズ氏はその大きな要因として、球界を代表する黒人スター選手が不在であることを指摘しており、米プロバスケットボール(NBA)の2大スターを引き合いに、子どもたちは「レブロン・ジェームズ(LeBron James)やコービー・ブライアント(Kobe Bryant)氏のような人気選手を見ることができるスポーツを選ぶ」と分析した。

 首都ワシントンを本拠地とするMLBのワシントン・ナショナルズ(Washington Nationals)は、メイミー・ジョンソンの選手たちのために、球団アカデミーのコーチスタッフやおしゃれなユニホームを提供している。それ以外のチームに関わる経費は、選手の親から集められる資金が頼りとなっている。

 バーンズ氏がチームを立ち上げた当時は100人程度だった子どもの数は、この4年間で3倍にも増加。昨年は全員が黒人のチームとしては30年ぶりに、地区大会の本戦に出場を果たした。試合は8年連続で決勝に進出している北西部のチームに敗れたが、大きな躍進を遂げたことでバーンズ氏は、「今年こそ選手権で優勝してみせる」と意気込んでいる。