【12月15日 AFP】中国プロバスケットボールリーグ(CBA)の試合で、上海シャークス(Shanghai Sharks)のファンが対戦相手に対し1937年の南京事件に関連する暴言をはいたとして物議を醸し、捜査にまで発展していることが分かった。

 姚明(Yao Ming、ヤオ・ミン)氏が米プロバスケットボール(NBA)入りする前に所属していたことで知られるシャークスは13日の試合後、南京モンキーキングス(Nanjing Monkey Kings)に対する暴言を謝罪している。

 試合が大詰めを迎えた頃、ホームのシャークスのファンはモンキーキングスに対し「なぜ南京事件でお前らのチームは殺されなかったんだ?」と叫んだという。

 現地警察は同日、「けんかを売ってトラブルを引き起こした」として23歳の男性を5日間の「行政拘禁」に処すと発表している。

 南京事件は中国では非常に扱いが難しい問題となっている。同国政府は日本軍によって6週間で30万人が殺害されたとしているが、犠牲者の数はもっと少ないと主張する中国外の著名な学者もいる。しかし多くの人が殺害された事件があったのは事実だという見方が主流であり、中国では毎年12月13日に各地で追悼式典が開催されている。

 シャークスが111-103で勝利した試合後、モンキーキングスは選手に向けられた暴言を「強く非難する」とした。モンキーキングスは中国版ツイッター(Twitter)の微博(ウェイボー、Weibo)で、「そういった痛ましい歴史を用いてチームを挑発するファンがいるなんて想像もできない」とし、暴言は「モラルの一線を越えた」として警察による行動を求めていた。

 ファンや両チームは試合前に南京事件の犠牲者に黙とうをささげており、シャークスはその後起きたことを「心から謝罪する」としている。シャークスは微博で、「クラブは関係当局と協力してすぐに詳細な調査を行う。そして可能な限り早く調査結果を報告する」とした。

 この件に関しCBAの見解は出されていないが、微博のユーザーからは怒りの声が噴出した。ユーザーの一人は「上海はCBAから追放されるべき」だと投稿している。(c)AFP