【12月15日 AFP】ドイツ議会は14日、男女の区別に明確に適合しない「インターセックス」に生まれた子どもの出生届で、第3の性を選択できるようにする法案を可決した。

 ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相率いる左右連立政権はこれに先立ち、インターセックスの新生児を「ディバース(多様、それ以外)」として登録できるようにする法改正案を閣議決定していた。

 同国の連邦憲法裁判所は2017年11月、市民の地位に関する現行規定はインターセックスの人々に差別的であるとの判決を下し、個人の性的アイデンティティーは基本的人権として保護されるとした。

 インターセックスは、生殖器や染色体といった性的特徴が典型的な男女の区別に完全に一致しない人々を指す広義語。

 国連(UN)によると、世界人口に占めるインターセックスの人々の割合は0.05~1.7%で、毛の赤い人々と同程度。また、インターセックスであることは、出生時に分かる場合も、思春期になってから分かる場合もある。

 新法は、成長してからの性別や名前の変更も認めているが、医学的な検査が必要とされる場合が多いことに批判の声が上がっている。

「ドイツ・レズビアン・ゲイ連盟(LSVD)」は、医学的検査を義務付ける規定はインターセックスであることが異常だとの認識を示すものだと批判。「個人の尊厳を傷つける評定」を廃止するよう求めている。

 一方、独DPA通信によると、保守派与党・キリスト教民主同盟(CDU)のマルク・ヘンリッヒマン(Marc Henrichmann)議員は、公的な市民登録は自己評価ではなく科学的証拠に基づいて行われなければならないと主張している。(c)AFP