【12月15日 AFP】米国境警備隊に拘束されたグアテマラ人の7歳の少女が死亡したとの報道に関し、同隊を所管する国土安全保障省は、この少女が今月8日に死亡したことを確認した。米国では14日、少女の死を受けて怒りの声が湧き上がり、中米からの移民家族の入国を阻止しようとするドナルド・トランプ(Donald Trump)政権に新たな圧力が生じている。

 同省は、少女は163人の不法入国者集団の一人としてニューメキシコ州の対メキシコ国境地帯で拘束され、その24時間以内にテキサス州エルパソ(El Paso)の病院で死亡したと発表した。

 グアテマラの当局者によれば、この少女はジャクリン・カール(Jakelin Caal)ちゃん。父親のネリー(Nery Caal)さん(29)と一緒に旅していたという。

 移民らは6日夜から7日未明にかけて、当時閉鎖されていたニューメキシコ州アンテロープウェルス(Antelope Wells)の国境検問所で国境警備隊員4人に拘束された。

 当局へのネリーさんの申告によれば、拘束時、ジャクリンちゃんにまったく問題はなかった。だが、その数時間後に国境警備隊のバスで移動していた際、ネリーさんは娘が息をしていないと当局者に訴えた。医療関係者が診察するとジャクリンちゃんは41度の高熱を出しており、ヘリコプターでエルパソの病院に搬送されたが、数時間後に死亡した。

 国土安全保障省の報道官は、隊員らは「最も厳しい状況において、子どもの命を救うべく手を尽くした」と釈明。ジャクリンちゃんの死は「とてつもない悲劇」だとする一方、厳しい自然環境にある国境沿いの砂漠や山岳地帯では、多くの不法移民が死んでいるとも指摘した。

 同省の監察総監は、ジャクリンちゃんの死について内部調査を実施すると発表した。

 ある国境警備当局者は、抜け穴の多い国境地帯では多ければ300人に上る大集団の越境が時折発生していたが、今回の出来事により、そうした集団が増加していることが浮き彫りになったと述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY