【12月14日 AFP】ラグビーニュージーランド代表のスティーブ・ハンセン(Steve Hansen)ヘッドコーチ(HC)が、来年のW杯日本大会(Rugby World Cup 2019)を最後に退任すると表明したことを受け、指導者として優秀な人材に不自由していない同国では、激しい後任争いが勃発すると予想されている。

 そこでAFPは、オールブラックス(All Blacks、ニュージーランド代表の愛称)の新指揮官候補として有力視される4人に注目する。

■イアン・フォスター(Ian Foster)氏

 ニュージーランドラグビー協会(NZR)がハンセンHCを任命した際に採用した方針に従って、新HCに内部の人間を昇格させるならば、フォスター氏が有力候補に挙げられる。

 2011年末からハンセンHCのアシスタントコーチを務めている同氏は、オールブラックスのプレースタイルを完全に熟知しており、それはチームの実力を持続させる上で大きな財産といえる。また、主力選手との関係も深く、これまでの忠誠心から次期ヘッドコーチに就任する上でハンセンHCの後押しが期待できる。

 フォスター氏はスーパーラグビー(Super Rugby)に参戦するワイカト・チーフス(Waikato Chiefs、ニュージーランド)を8年間率いた経歴があるものの、最高成績が2009年の準優勝どまりとなっていることを指摘する声もある。しかし、歴史に残る圧倒的な強さを発揮してきたオールブラックスの一員として、同氏は欠かせない存在となっている。

 チームの強さを維持することが可能で、ハンセンHCと同様にスムーズにアシスタントコーチからヘッドコーチに切り替えられるとNZRが確信すれば、フォスター氏に白羽の矢が立てられると思われる。

■ジョー・シュミット(Joe Schmidt)氏

 シュミット氏は、2016年に米シカゴ(Chicago)でアイルランド代表をオールブラックス戦初勝利に導き、先月にも地元ダブリンで2度目の金星を飾った。この快挙はラグビー人気が高いニュージーランドで注目を浴びており、2019年のW杯後には退任すると発表していることから、ハンセンHCの後任に就く上では絶好のタイミングだと見られている。

 53歳のシュミット氏は、アイルランドの代表指揮官として3度のシックスネーションズ(Six Nations Rugby)制覇を成し遂げ、今年の大会ではグランドスラム(全勝優勝)を達成。ニュージーランド戦の勝利のみならず、オーストラリアとのシリーズでも勝ち越しに成功した。

 退任後は休養を取る意向を示しているシュミット氏だが、オールブラックスからオファーを受ければ確実に心が動くと思われる。元ニュージーランド代表の主将リッチー・マッコウ(Richie McCaw)氏も、母国の次期代表指揮官としてシュミット氏を推薦しており、先日も「ここにいる全員が、いつか彼が戻って来て、ニュージーランドの一員に復帰することを願っている」と語っていた。

 NZRもシュミット氏の才能を認めており、昨年オールブラックスのアシスタントコーチの職を打診したが断られたと報じられた。