【12月13日 AFP】オランダ人収集家が香港で購入した約1000年前の僧侶ミイラ像(加漆肉身像)について、中国の村の住民らが盗品だとして返還を求めていた訴訟で、オランダ・アムステルダム(Amsterdam)の裁判所は12日、住民らの訴えを却下した。

 問題の仏像は宋王朝時代の等身大の仏座像。中国東部、楊春(Yangchun)の村人たちによると、何世紀も前から村であがめられてきたが、1995年に村の寺院からこつぜんと消えた。

 仏像はその後20年あまり行方不明だったが、2015年にハンガリーの首都ブダペストにあるハンガリー自然史博物館(Hungarian Natural History Museum)で開催された「ミイラの世界展(Mummy World Exhibition)」の展示品の中に、この仏像が
あることに村人が気付いた。

 オランダ側が仏像をスキャンすると、内部に人間の骨格の存在が確認された。骨格は約1000年前の中国人僧侶のものだとされている。

 これを受けて、村人たちは1996年に香港でこの仏像を購入したというオランダ人建築家のオスカル・ファンオフェレーム(Oscar van Overeem)氏を相手取り、仏像の返還を求めて訴訟を起こしていた。

 しかし、オランダの裁判所は12日、原告の楊春村自治会を「法的主体」とみなすことはできないとし、訴えを却下した。裁判所は声明で「当裁判所は本件を取り扱わないという意味だ」と述べている。

 問題の仏像について、ファンオフェレーム氏は公判で、2015年に匿名の中国人収集家と交換しており、現在は所有していないと繰り返し訴えていた。(c)AFP