【12月13日 AFP】2018年も終わろうという中、欧州連合(EU)では、その存在意義に疑問を投げ掛ける声が再び高まっている。ドイツとフランスのリーダーシップには不透明感が漂い、両国がしっかりとつなぎ留めてきた域内の結束は、ポピュリストの台頭に揺らいでいる。

 来年3月29日をもって英国は28か国が加盟するEUを離脱するが、それが厳しいながらも秩序ある離脱になるのか、大きな混乱を招く「合意なき」離脱になるのかもまだ分からない。そしてそのわずか2か月後にはEU全域で、新たな欧州議会(European Parliament)のための選挙が実施される。

 ベルギー・ブリュッセルに本部を置くEU執行機関、欧州委員会(European Commission)の元上級執行役員であるジョナサン・フォール(Jonathan Faull)氏は、「2019年は、重大な課題に直面する極めて重要な年となるだろう」と話す。

 5月の欧州議会選では、主流派政党と、移民をめぐる人々の怒りにつけ入るEU懐疑派の運動との間で衝突が起きるだろう。

 リベラル派の急先鋒であるエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領の権威は、フランスを揺さぶる反政府デモ「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」運動によって打撃を受けており、一方ドイツでは、長年にわたり同国を率いてきたアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)政権が終わりを迎えようとしている。

 フォール氏はAFPに対し、「われわれは、英国のEU離脱(ブレグジット、Brexit)、ポピュリズムの台頭とその原因、メルケル氏の退任などに対応しなければならないが、それがマクロン氏の優位性の回復につながるかどうかは分からない」と語る。

 ハンガリーやポーランドでは、選出されたリーダーらが、EU創設の基盤である民主主義の価値を脅かしているとして欧州委員会から何度も警告を受ける事態となっている。

 極右は欧州全域の選挙で躍進しており、オーストリアやイタリアでは連立政権にまで加わっている。