【12月12日 AFP】「神のジョアン(ジョアン・ジ・デウス、Joao de Deus)」として世界的にも有名なブラジルの自称霊媒医ジョアン・テイシェーラ・ジ・ファリア(Joao Teixeira de Faria)氏(76)による性的虐待疑惑で、新たに200人以上の女性が被害を受けたと名乗り出た。報道と当局が受理した告訴状によって11日、明らかになった。

 ファリア氏には、「超自然的な力」を使った1対1の治療の際、女性患者に対し性的行為に及んだ疑いが持たれている。

 霊媒医としてのファリア氏の評判はブラジル国内にとどまらず、米国や欧州、オーストラリアなどにも信奉者がいる。2012年には米有名女性司会者のオプラ・ウィンフリー(Oprah Winfrey)さんがファリア氏のもとを訪れ、その時の模様は翌年テレビで放送された。

 ブラジル大手グロボテレビ(Globo TV)と系列の日刊紙グロボ(O Globo)は先週、この8年間に12人の女性が被害を受けたと報じていた。

 女性たちによると、ファリア氏は「浄化の力」を女性たちに注入する唯一の方法だとして自身の男性器をさわったり、なめたりするよう強要したという。

 AFPは首都ブラジリア近郊の小さな町アバジアニア(Abadiania)にあるファリア氏の診療所に取材を申し込んだが、コメントを得ることはできなかった。

■大統領とも親交

 広く尊敬を集めているファリア氏の疑惑はブラジル社会に波紋を広げている。いずれもがんを患ったルイス・イナシオ・ルラ・ダシルバ(Luiz Inacio Lula da Silva)元大統領とその後継者のジルマ・ルセフ(Dilma Rousseff)前大統領がファリア氏の治療所を訪れたほか、ミシェル・テメル(Michel Temer)現大統領も前立腺の手術を受ける前にファリア氏の力を借りた。

 ブラジル紙エスタド・ジ・サンパウロ(O Estado de Sao Paulo)によると、ファリア氏の診療所があるアバジアニアの町長は、毎月1万人近くがファリア氏のもとを訪れその40%は外国から来ると指摘し、疑惑が町の観光業に壊滅的な影響を与えかねないと懸念を示した。(c)AFP/Marc BURLEIGH