【12月19日 AFP】インド洋に浮かぶ島国モーリシャスは、発電源の一部を化石燃料からサトウキビへ変える取り組みを進めている。

「バガス」と呼ばれる、サトウキビの茎や先端部を細断したものを燃やすことで、石炭や石油への依存を徐々に縮小してきた。現在、同国では国内電力供給の14パーセントをサトウキビ発電で賄っており、太陽光発電や風力発電、水力発電などを含めると、1日の電力消費の約4分の1が再生可能エネルギーによって供給される電力となる。

 イバン・コレンダベル(Ivan Collendavelloo)副首相兼エネルギー・公共事業相は、「政府の目標は、再生可能エネルギーのシェアを伸ばし、2025年までに発電量の35パーセントにまで増やすことだ」とし、「35パーセントは高すぎる目標ではない。来年までに太陽光発電設備11か所と、風力発電所を少なくとも2か所設置する予定だ」と述べた。

 モーリシャスでは、国内に供給される電力の約60パーセントが4社の砂糖生産会社によって発電されており、各社はそれぞれの火力発電所を所有している。発電所は、サトウキビの収穫時期になるとサトウキビ発電を行い、それ以外の時期は石炭による発電で電力を供給している。

 しかし、先行きは明るくない。欧州連合(EU)が2017年に生産割当を廃止し、さらにタイやブラジル、インドでの生産量が増えたことで、サトウキビの価格は下がり、国内のサトウキビ農家には負担がのしかかっている。

 マエン・クマール・シーラタン(Mahen Kumar Seeruttun)農産業・食料安全保障相によると、「サトウキビ栽培の小規模農家の数は2010年の2万6000人から、2018年には1万3000人にまで減った」という。今後の課題は、モーリシャスがバガス燃料による十分な発電ができるだけのサトウキビを生産できるか、という点に向けられる。(c)AFP/Jean-Marc POCHE