【12月26日 AFP】かつて、まわりの子どもから体の大きさをばかにされていたいじめられっ子は、今では生まれ故郷のブルキナファソの町を歩けば子どもに駆け寄られ、63センチの太さを誇るたくましい二の腕を触らせてくれとせがまれる。青年の名は「アイアン・ビビー(Iron Biby)」。怪力自慢が競う国際大会「世界最強の男(World's Strongest Man)」の有力選手だ。

 子どもたちの願いに気さくに応じるビビー、本名シェイク・アフマド・アルハサン・サヌー(Cheick Ahmed al-Hassan Sanou)は、小さい頃は人気者ではなかった。本人は「いつも、友達や兄弟の誰より太めだった。この国では珍しいことで、だからみんなにからかわれたよ」「自分に自信がない、自分では何も決められない子どもだった」と話す。

 しかし少年はその後、身長190センチ、体重180キログラムの巨漢に成長し、世界最強の男の一人という名声を手に入れる。そして26歳になる今、ビビーは自らの屈強な肉体を使い、世界最貧国の一つであるブルキナファソを救いたいと考えている。

 ビビーは最初から大きかった。1992年にブルキナファソでこの世に生を受けた時点で、体重は5キロ近くあった。それを生かそうと、小さい頃から「いろんなスポーツを試したが、どれもダメ」。それでも「偉大なスポーツマンになるという夢は捨てきれなかった」という。

 そんな彼がボディービルに出合ったのが2009年、兄を追いかけ、高校を出るためにカナダへ移り住んだ17歳の時だった。きっかけについてビビーは、「コンプレックスがあった。みんなにばかにされて、だから自分を変えたくて、ちょっとずつトレーニングを始めた」と話す。

 そして脂肪が筋肉に変わっていく中で、ビビーは地元のジムかいわいで瞬く間に注目の的となっていく。アマチュア時代の2013年にはパワーリフティングの大会に招待され、初出場で優勝した。そしてすぐに、業界トップ10の一人に数えられるようになり、「世界最強の男」の優勝候補の常連となっていった。