【12月12日 AFP】気候温暖化による永久凍土の融解が進行中で、北極地域のインフラの最大70%が危険にさらされるとする最新の研究結果が12日、発表された。これには主要な油田と天然ガス田も含まれるという。

 研究チームは2050年までに危険にさらされると考えられる建物、道路、鉄道、その他の建築物について、これまでで最も詳しくモデル化するため、北半球の永久凍土地帯全域のインフラに関する詳細なデータを利用・評価した。

 11日の英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された研究論文の筆頭執筆者で、フィンランド・オウル大学(University of Oulu)のヤン・ヨルト(Jan Hjort)教授(自然地理学)は「脅威の規模は、ある点で驚くほどだった」と話す。

 論文は、「特に驚くべきは、永久凍土領域にある現在のインフラの約70%が、地表近くの永久凍土層の融解の可能性が高い地域に存在することだ」と指摘し、「永久凍土融解の影響を受けるインフラへの損害によって2050年までに360万人が影響を受ける可能性がある」ことを補足している。

 また、ロシア北極圏にある主要な油田とガス田の半数近くが、2050年までに永久凍土融解に起因する「危険が及ぶ可能性が高い」地域内に存在するとも警告した。

 論文によると、世界の指導者らが地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」で交わした約束を守ることができても、2050年までのインフラへのリスクは変わらないという。

 その一方で、気温の上昇幅を産業革命前の水準から2度未満に抑えることで、2050年以降に発生し得る潜在的な荒廃状態を軽減できる可能性は高いと、執筆者らは指摘している。

 ヨルト教授は、「今回の研究結果は『警鐘』として受け止められることが考えられる」として、永久凍土融解に起因すると考えられる損害をより詳細に理解するために、局所的なリスク評価を拡充させる必要性を訴えている。(c)AFP