【12月12日 AFP】地球温暖化は北極圏の気温を前例のないペースで上昇させており、欧米で発生した極度の暴風雨など、地球全体で広範な環境変化を引き起こしているとする米国の主要な科学報告書が11日、発表された。

 米海洋大気局(NOAA)の年次報告書「北極圏報告カード(Arctic Report Card)」2018年度版によると、脆弱(ぜいじゃく)な北極圏は過去5年にわたり毎年、観測史上最高を更新する高気温に見舞われ、記録的な長期間に及ぶ気温上昇傾向が観測された。

 報告書は、北極圏で続く気温上昇が典型的な気象パターンに混乱をもたらしており、この傾向は米東部で起きた猛烈な冬の嵐や3月に欧州を襲った極度の寒波と「同期している」と指摘。

「北極圏の大気と海洋の継続的な温度上昇は、予測された形だけでなく予想外の形でも、環境システムに広範な変化を引き起こしている」「新たな、急速に顕在化する脅威が形を成しつつあり、今後起こり得る環境変化の幅の不確実性を浮き彫りにしている」と警告した。

 最新報告の対象期間となった2017年10月から2018年9月、北極圏の年間平均気温は1981年から2010年の平均を1.7度上回った。

 報告書によると、「2018年は、1900年からの北極圏での観測史上(2016年に次いで)2番目に気温が高い年」だった。また、北極圏全体の海氷面積が史上2番目に小さい値まで減少したほか、ベーリング海(Bering Sea)では冬季の氷が過去最少となった。(c)AFP