【12月11日 AFP】オーストラリアのグレートバリアリーフ(Great Barrier Reef)に生息するサンゴのうち海水温の上昇による白化を免れたものは翌年、再び海水温が上昇した際の抵抗力が強まるとする研究結果が11日、発表された。科学者の一人は、危機に直面している生態系にとって「希望の光」だと述べている。

 オーストラリア北東部沿岸沖に2300キロにわたって広がり、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産にも登録されている世界最大のサンゴ礁グレートバリアリーフでは、2016年と17年に2年連続で白化現象に見舞われるという前例のない事態が起きた。広範囲のサンゴ礁が死滅・損傷し、とりわけ枝状やテーブル状に群生するサンゴが高温による被害を受けた。

 だが白化したサンゴの調査を率いた豪ジェームズクック大学(JCU)のテリー・ヒューズ(Terry Hughes)教授は、英科学誌「ネイチャー・クライメート・チェンジ(Nature Climate Change)」に掲載された最新の研究で、サンゴの反応が1年目と2年目では異なっていたことを発見した。「2017年には、白化が少なかったことを知って私たちは驚いた。なぜなら海水温は、前年よりむしろ高温だったからだ」

 2016年に最も大きな被害を受けたグレートバリアリーフの北側は、一部のサンゴを除いて、2017年の方が白化が「はるかに」少なかった。

 またグレートバリアリーフの中央部では、2017年の方がより高温だったにもかかわらず、白化は2年とも同程度だったことが観察できた。

 一方、最も被害が少なかった南側では、最初の年に若干の白化しかみられなかったサンゴは、翌年にはまったく白化が確認できなかった。

「サンゴは1年目の経験で強くなり、翌年高温にさらされてもわずかな被害で済むほどに順応していた。これは希望の光と言えるかもしれない」とヒューズ氏は述べている。

 映像の撮影日は不明。(c)AFP