【12月11日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は10日、1977年に打ち上げた探査機ボイジャー2号(Voyager 2)が、太陽系を包み宇宙線から保護する泡構造の太陽圏を離れて星間空間に突入した2番目の人工物となったと発表した。

 ほぼ同時期に打ち上げられた双子の探査機ボイジャー1号(Voyager 1)が「ヘリオポーズ(太陽圏界面)」を突破したのは、今回の発表の6年前だった。ヘリオポーズは高温の太陽風が星間物質として知られる低温で高密度の星間領域に接する境界。

 11月5日にヘリオポーズを通過したボイジャー2号は現在、地球から180億キロ以上の距離に達している。

 NASAの太陽系物理学部門を統括するニッキー・フォックス(Nicky Fox)氏は「今回はわれわれにとってさらに好都合だ」として、ボイジャー2号では「プラズマ科学(PLS)」と呼ばれる機器がまだ機能していることを指摘した。

「太陽の影響が及ぶ境界に関する情報をボイジャー2号に地球に送信させることにより、真に未知の領域を人類史上初めて垣間見ることができる」

 太陽系の惑星を探査したボイジャー2機は太陽圏を脱出したが、まだ太陽系を出たわけではなく「まだ当分の間は太陽系を離れることはない」と、NASAは述べている。

「太陽系の境界はオールトの雲(Oort Cloud)の外縁部を超えたところと考えられている。オールトの雲は小天体の集まりで、まだ太陽の重力の影響下にある」

 NASAによると、ボイジャー2号がオールトの雲の内縁部に到達するのにあと約300年かかる見通しで、オールトの雲から飛び出すのにおそらく3万年を要すると思われるという。

 ボイジャー2号は公式にNASAの最も長期にわたる探査ミッションとなっている。ボイジャー2機の当初の目的は木星と土星の探査で、設計寿命は5年だった。

 ボイジャー探査機に関する今回の科学研究結果は、米首都ワシントンで開催の米国地球物理学連合(American Geophysical Union)の年次総会で発表された。

 主な問題の一つは電力で、NASAは節電のために搭載機器の電源を順次落としていく必要がある。だがNASAによると、ボイジャー2機の寿命はあと5~10年残っている可能性があるという。(c)AFP