【12月11日 AFP】今年のノーベル平和賞(Nobel Peace Prize)の授賞式が10日、ノルウェーの首都オスロで開かれ、アフリカ・コンゴ民主共和国の婦人科医師ドニ・ムクウェゲ(Denis Mukwege)氏とヤジディー(Yazidi)教徒の人権活動家ナディア・ムラド(Nadia Murad)氏に同賞が贈られた。両氏は受賞スピーチで、戦時下の性暴力の被害者を保護するよう世界に訴え、紛争に巻き込まれた女性や子どもの窮状に対する無関心を非難した。

 紛争下のレイプ問題への取り組みで世界的に知られるところとなったムクウェゲ氏と、イスラム過激派組織「イスラム国(IS)」の性奴隷として拉致されたものの脱出に成功したムラド氏はいずれも、時に被害者よりも商業的利益が優先されていると指摘。世界に対してさらなる行動を促し、歓声とスタンディングオベーションに迎えられた。

 ムクウェゲ氏は、コンゴの豊富な天然資源の取引が暴力に拍車を掛けた一方で、その利益は「人を食いものにする少数独裁者のポケットに収まっている」と指摘。「人は良い車や宝石、機器類を好むもので、私自身もスマートフォンを持っている。これらの物品にはわが国で見つかった鉱物が入っている。その多くは、幼い子どもたち、脅迫行為や性暴力の被害者らによって、非人道的な環境の中で掘り出されたものだ」と述べた。

 ムクウェゲ氏はさらに「暴力犯罪の責任を負うのは実行犯だけではなく、そこから目を背けることを選ぶ者の責任でもある」と訴え、犠牲者に対する賠償を提供する国際基金の創設と、暴力行為の責任を負う者に対する経済的・政治的制裁を呼び掛けた。

 一方、イラク人として初めてノーベル平和賞を受賞したムラド氏は受賞演説で、「グローバリゼーションと人権の時代であるこの21世紀において」もなお、ヤジディー教徒の女性や少女ら6500人以上が拉致され、レイプされ、売買されたと指摘した。うち約3000人の女性や少女の安否はいまだ明らかになっていない。

 ムラド氏は「人生の最良の時を迎えた若い少女らが、日々売られ、買われ、拘束され、レイプを受けている。世界195か国の首脳の良心が、これらの少女らの解放のために結集されていないのは理解に苦しむ」と語り、「商業上の契約だったら、油田だったら、武器の取引だったらとしたらどうだろう。ほぼ間違いなく、これらを解放するためだったら、いかなる努力も惜しまれないはず」と指摘した。

 両氏は金のメダルと賞状に加え、共同で賞金900万スウェーデンクローナ(約1億1200万円)を受け取った。(c)AFP/Kelly MACNAMARA