【12月10日 AFP】(写真追加)クリスマスを目前に控えたこの時期にもかかわらず、小売店のシャッターは下ろされ、街頭も大混乱となっているフランス──。激化する政権への抗議運動「ジレ・ジョーヌ(黄色いベスト、gilets jaunes)」が経済に与える影響は、仏経済相が「大惨事」と表現するほど大きいものとなっている。

 8日、パリで抗議デモが展開するなか、米ニューヨークから観光に来ていたフォルトさん夫婦は、バンドーム広場(Place Vendome)に警察車両がずらりと並ぶ様子をただ見ていることしかできなかった。

 59歳の誕生日を祝い、夫からフランス旅行をプレゼントされたという妻のカーメラさんは、「何もかもが閉まっている」とAFPの取材に述べた。夫婦は、第2次世界大戦(World War II)中にカーメラさんの父親が兵士として戦ったノルマンディー(Normandy)を訪れる予定だったが、激しい抗議デモのために訪問を断念したと語った。

 広場にある高級宝飾店は、外側に板が打ち付けられ、ショーウインドーに飾られていたダイヤモンドや時計は、略奪されないよう撤去されていた。

 クリスマス前の土曜日ともなれば、エッフェル塔(Eiffel Tower)をはじめ、美術館や博物館、百貨店などは通常、大混雑する。だが今年はすべて閉鎖されたままだ。

 米大使館は、パリを訪れる自国の観光客らに「群衆を避ける」よう注意を呼び掛けた。ベルギーやポルトガル、チェコなどの国は、渡航そのものを延期するよう自国民に勧告している。

 仏首都パリの店舗は、一連の抗議デモで毎週のように大きな被害を受けている。窓ガラスが割られた他、車に火が放たれ、通りのバリケードも燃やされた。暴動は、観光客に人気のあるボルドー(Bordeaux)やトゥールーズ(Toulouse)など他の都市でも起きている。

 ブリュノ・ルメール(Bruno Le Maire)経済・財務相は、パリの小売店を視察し、「クリスマス目前といえば、通常は商売が活気づく時期だ。だが今の状態は、大惨事だ」と語った。

 同氏は、被害を受けた店舗に「直接的な」支援を約束。またエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領も、大統領就任後最大の危機に終止符を打つため、今週、国民に向けた演説を行う予定だ。