【12月10日 AFP】子ども4500人の脳をスキャンする大規模な調査により、デジタル端末やビデオゲームなどの画面を長時間眺めている子どもの脳にはそうでない子どもと「異なるパターン」がみられることが分かったと、米国立衛生研究所(NIH)の研究チームが明らかにした。

 米CBSの報道番組「60ミニッツ(60 Minutes)」はNIHが3億ドル(約340億円)かけて実施している研究を取り上げ、来年以降に公開予定だという初期データを紹介。それによると、デジタル端末などの機器を1日7時間以上使用している9~10歳の子どもの脳では、知覚情報を処理している大脳皮質に尚早な委縮の兆候がみられた。

 また、言語と論理的思考に関する試験をさせたところ、こうした機器を1日2時間以上使用している子どもは成績が低い傾向もみられたという。

 同番組でインタビューを受けたNIHのガヤ・ダウリング(Gaya Dowling)医師は、「画面を見ている時間が原因なのかどうかは分からない。また悪影響なのかどうかもまだ分からない」「言えることは、画面の視聴時間が長い子どもの脳はこのようだということだ。そしてパターンは一つだけではない」と語った。

 研究の最終的な目的は画面視聴の中毒性を調べることだが、長期的な結果を判断するには数年かかるという。

 米国小児科学会(American Academy of Pediatrics)が最近発表した画面視聴時間に関するガイドラインの主著者で、同番組に出演したディミトリ・クリスタキス(Dimitri Christakis)医師は、「われわれは今、次世代の子どもたちに対する野放しの実験の真っただ中にあるのではないか」と懸念を示した。

 同学会では保護者らに対し、生後18~24か月以下の子どもについてはビデオチャット以外のデジタル機器の使用を避けるよう推奨している。(c)AFP