【12月9日 AFP】ハンガリーの首都ブダペストで8日、オルバン・ビクトル(Orban Viktor)首相の与党フィデス・ハンガリー市民連盟(Fidesz)が提示した労働法改正法案に反対する数千人規模のデモが行われた。

 改正案は雇用主が要求できる時間外労働の年間の上限を大幅に引き上げ、時間外手当の精算期間も従来から延長する内容で、「奴隷法」との批判を呼んでいる。

 AFPのカメラマンによると、デモ参加者は推計5000人を上回り、フランスの燃料税反対デモの影響で蛍光色の黄色いベストを着用している参加者もみられた。デモ行進には、大半の野党の代表者らも加わった。

 政府は法改正が実現すると、残業で収入を増やしたい労働者が恩恵を受けると主張している。ただ、デモを主催したハンガリー労働組合連合(MASZSZ)は廃案を要求。コーダシュ・ラースロー(Kordas Laszlo)書記長は、時間外労働の年間の上限が現行の250時間から400時間に引き上げられた場合、「労働者は年間で50日残業をせざるを得なるだろう」と述べた。

 人手不足が深刻化しているため、ハンガリー経済の要であるドイツの自動車大手が、残業規制の緩和をハンガリー政府に働きかけたとの観測も、批判を招く要因になっている。ドイツ・ハンガリー商工会議所(German-Hungarian Chamber of Industry and Commerce )は、独企業が法改正を求めた事実はないとしている。

 議会は11日に改正法案の採決を行う予定。(c)AFP