【12月8日 AFP】(写真追加、更新)エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)仏大統領に対する抗議デモが続くフランスの首都パリでは8日朝、警察が催涙ガスを発射し、数百人を逮捕するなど、厳戒態勢を敷いている。

 先週末に過去数十年で最悪レベルの騒乱が起きたシャンゼリゼ(Champs Elysees)通りでは、催涙ガスが立ち込める中、「マクロン、辞めろ」の声が響き渡った。

 燃料価格高騰に対する抗議に端を発し、道路の封鎖から始まった「黄色いベスト」と呼ばれる運動は、その後マクロン大統領の政策とトップダウン式の統治に反発する大規模な抗議デモに拡大。

 8日は同国各地で抗議活動が連携して展開される予定となっている。

 エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は481人が拘束されていると発表。警察は鉄道駅、およびシャンゼリゼ通りやバスチーユ(Bastille)広場といった抗議活動の中心地などに到着した人々への検査を実施した。

 また、市内にあるエッフェル塔(Eiffel Tower)は閉鎖され、ルーブル美術館(Louvre Museum)やオルセー美術館(Musee d'Orsay)なども営業を停止。

 クリスマスシーズンを控えて普段なら買い物客でごった返す週末であるにもかかわらず、デパートは略奪を恐れてシャッターを下ろし、多くの地下鉄駅も封鎖されている。市内で行われる予定だった主要なサッカーの試合やコンサートなども延期が発表された。

 その一方、フィリップ首相は7日夜、デモに加わらないよう呼び掛けている黄色いベスト運動の自称「穏健派」の代表と面会。

 黄色いベスト運動の広報担当者はその後、「(首相は)われわれに耳を傾け、われわれの要求を大統領に届けると約束してくれた」ことを明らかにし、「あとは、マクロン大統領を待つだけだ」として、マクロン氏が「愛と敬意をもって父としてフランス国民に語り掛け、勇断を下してくれることを願っている」と話した。

 フィリップ首相によれば、フランス全土には約8万9000人の警官が動員され、パリには数十年ぶりに装甲車も数十台配置されている。

 各国政府も、事態の進展を注視している。

 米大使館は市内にいる米国人に対し、「目立たないようにし、人混みを避ける」よう勧告。ベルギー、ポルトガル、チェコ政府は、今週末は市内への訪問を見合わせるよう自国民に呼び掛けている。(c)AFP/Katy Lee