■海岸線が毎年約2メートルずつ浸食

 メルニコフ永久凍土研究所の地下研究室では、永久凍土での建築技術や、温暖化の影響を受けても凍土を維持する技術の開発を行っている。

 フロンやケロシンなどの不凍剤を詰めた金属製の筒を建物周辺の凍土に、先端を突き出した形で垂直に埋める方法は既に実用化されている。冬になると、筒の中の不凍剤が冷気で凝縮し、地面の寒さを保つ仕組みになっている。しかし、この方法は高額だ。

 永久凍土の溶解によって、ロシアの北極海沿岸は浸食が進んでいる。ヤクーツクの地元議員、ウラジーミル・プロコプエフ(Vladimir Prokopyev)氏は、ヤクーツクの海岸線は毎年約2メートルずつ、失われていると指摘する。

 ヤクーツクは今年、永久凍土の保全と監視に関する法律を国内で初めて制定し、政府にも全国規模で同じような法律を整備するよう働き掛けている。だが、政府は乗り気ではないと、プロコプエフ氏は嘆く。

「永久凍土を保全し、ロシア北部とシベリアの環境に深刻な影響を及ぼさないようにするには、全国的な法律が必要だ」(c)AFP/ Maria ANTONOVA