■過去10年以上、監視対象

 ファーウェイは中国政府との関係を全面的に否定しているが、米政府は懐疑的だ。

 米シンクタンクの戦略国際問題研究所(CSIS)の公共政策・テクノロジー部門を率いるジェームズ・ルイス(James Lewis)氏は「ファーウェイは中国情報機関の一部門として活動している。諜報(諜報)的観点から中国政府の支援を受けている」と明言する。

 ルイス氏は、中国の5G通信網は米シリコンバレー(Silicon Valley)企業のチップその他の部品に頼っているため、米政府が姿勢を強硬化させれば、中国は痛手を受けるだろうと指摘。ファーウェイや多くの中国IT企業は「完全に米国の技術に依存している。インテルや他の(米)チップメーカーなしでは、彼らは5G通信網を築けない」とコメントした。

 ファーウェイは過去10年以上にわたって、米政府の監視対象となってきた。2007年には米ネットワーク機器企業スリーコム(3Com)の買収入札から除外され、2010年には米携帯電話事業者スプリント(Sprint)のネットワーク更新の入札からも外された。

 今年に入り、ファーウェイは米国内でのスマートフォン販売へ向けて、米通信大手AT&Tとの大型提携を発表するところだったが、計画は突然撤回された。

 それでもなお、ファーウェイは米アップル(Apple)を抜いて世界第2位のスマートフォンメーカーとなった。これに関しては、米国での販売が限定的であることにも触れるべきだろう。同社はまた、世界の5G通信インフラをけん引するリーダー企業の一社ともなっている。