【12月6日 時事通信社】フランス政府は5日、激しい抗議デモのきっかけとなった燃料税引き上げ方針について、来年中の実施は断念した。政府は4日、来年1月からの増税を半年延期すると表明したばかり。死者4人を出したデモの激化を重く見たマクロン大統領は、大幅な譲歩で事態の収拾を図りたい考えだが、先行きは不透明だ。

 政府側が一段と妥協せざるを得なかったのは、半年延期の発表後も、抗議行動継続の機運は全く衰えなかったためだ。しかし、パリで再び8日に予定されるデモ参加を呼び掛けるツイッターには5日の決定を受けても、「6カ月の延期がさらに先延ばしになっただけだ」「増税を断念しても購買力は向上しない」と反発する投稿が相次いだ。

 市民の怒りの矛先は、大企業や富裕層を優遇してきたマクロン氏に向かっている。4日には、デモによる火災が発生した地方の町を視察したマクロン氏の乗った車に、デモ参加者らは「辞任しろ」と罵声を浴びせた。

 フィリップ首相は5日の議会演説で、マクロン氏が税制改革で廃止した高所得者への富裕税について「われわれは議論を恐れない」と発言。復活を含めた検討を始めると表明し、マクロン氏を「金持ち大統領」と批判する低・中所得者層を懐柔したい意向を示した。

 しかし、抗議デモには今や、年金・社会保障費の負担増をはじめ燃料税以外にさまざまな不満を抱える市民が参加している。大学入試や学費に関わるマクロン氏の教育改革に反対する高校生や大学生も同調し、各地でデモを開始した。燃料税増税断念だけでは国民の怒りは収まりそうにない。(c)時事通信社