【12月6日 AFP】ポリ袋で手作りしたサッカー・アルゼンチン代表リオネル・メッシ(Lionel Messi)選手のユニホームを着た姿で世界を感動させ、憧れのメッシ選手と対面する夢もかなえたアフガニスタンの少年、ムルタザ・アフマディ(Murtaza Ahmadi)君(7)が、旧支配勢力タリバン(Taliban)に追われて家族と共に避難民生活を送っていることが分かった。

 ムルタザ君は5歳だった2016年、青と白の縦じま模様のポリ袋にメッシ選手の名前と背番号10をフェルトペンで手書きした兄の手製のユニホームを着た写真が「小さなメッシ(Little Messi)」としてソーシャルサイト上で話題を呼び、メディアでも大きく取り上げられた。

「メッシ愛」にあふれたこの写真は、メッシ選手本人の目にも留まった。メッシ選手は自身が親善大使を務める国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)を通じ、ムルタザ君に直筆サイン入りのユニホームとサッカーボールを贈呈。さらに同年、カタールで行われたFCバルセロナ(FC Barcelona)の親善試合でムルタザ君は、選手入場の際にメッシ選手と手をつないでピッチに登場し、憧れのスーパースターとの共演を果たした。

 しかし、ムルタザ君は今、首都カブールで数千人の避難民の一人として、悪夢の中に暮らしている。

 ムルタザ君の自宅がある南東部ガズニ(Ghazni)州はこれまで、内戦状態のアフガン国内では安全な地域とされていた。だが、11月にタリバンがガズニ州で攻勢を開始。戦闘が激化して多くの人々が逃げ出す中、一家も同月中に同州ジャゴリ(Jaghori)地区の自宅を捨てた。

 ムルタザ君一家は少数民族ハザラ人(Hazara)だ。ハザラ人はイスラム教シーア派(Shiite)が多数を占め、今回の攻勢でもスンニ派(Sunni)のタリバンの標的となっている。

 カブールでAFPの取材に応じた母親のシャフィカさんは、夜中に銃声が聞こえたため「取るものも取りあえず、身一つで」自宅から逃げ出したと語った。メッシ選手から贈られたユニホームとボールも、持って来られなかったという。

 タリバンがムルタザ君を名指しで捜していると聞き、一家の恐怖は募るばかりだ。「ムルタザを捕まえたら、バラバラに切断してやると(タリバンは)言っている」とシャフィカさんはおびえた表情で話した。逃げる道中では、有名になってしまったムルタザ君の顔をスカーフで隠していたという。