【12月6日 AFP】ホテル宿泊中にシャワーを浴びているところを隠しカメラで盗撮され、実名と共に動画を多数のポルノサイトに掲載されたとして、米シカゴ在住の女性が米ホテルチェーン大手ヒルトン・ワールドワイド(Hilton Worldwide)を相手取り、1億ドル(約113億円)の損害賠償を求める訴訟を起こした。

 女性は、「癒えることのない深刻な心的外傷」や「深刻な精神的苦痛や苦悩」、医療費や逸失利益といった「その他の損害」をめぐり、ヒルトン側に過失があったと訴えている。

 この女性は2015年7月、ロースクールを卒業後にニューヨーク州司法試験を受けるため、州都オールバニ(Albany)のヒルトン系列のホテル「ハンプトン・イン&スイーツ(Hampton Inn and Suites)」に宿泊した。その際、全裸でシャワーを浴びている様子を隠しカメラで動画撮影されたと、19ページに及ぶ訴状は主張している。

 女性は盗撮されたことを3年余りの間知らずにいたが、今年9月になって「これはあなたですよね?」という文章とポルノサイトの動画へのリンクが記載された電子メールが送られてきた。動画は、女性のフルネームと一緒に掲載されていたという。

 メールの送信者は「変態」を自称。続けて、女性の通っていた大学も今の職場も分かっていると主張し、多数の脅迫メールを送ってきた。女性が相手にせず放置していると、問題の動画が次々と他のポルノサイトに転載されていった。

 また、女性の名前をかたって取得したメールアドレスから、同僚や友人、元クラスメートなどに再編集された動画が送りつけられた。脅迫メールの送信者はその上で、口止め料として2000ドル(約22万6000円)を即座に支払うよう要求。さらに、毎月1000ドル(約11万3000円)を1年間にわたって支払うよう脅してきたという。

 訴状は、女性が宿泊したハンプトン・イン&スイーツの部屋では他の宿泊客も盗撮被害に遭っていた恐れがあると主張している。

 ヒルトン広報は声明で、訴状の内容について「痛ましい」と述べた上で、系列ホテルについては「所有権と経営権の独立を尊重しており、ホテル側の調査と対応、警察への捜査協力など」を待つと説明した。

 一方、ホテル側は3日夜、「(盗撮)疑惑を知って非常に驚き、衝撃を受けている」と広報を通じて発表。ホテルは全館の改修を先日終えたばかりだが、工事の際には「記録装置の類いは一切見つからなかった」とした上で、加害者の特定と責任追及に向けて当局と協力することを約束した。(c)AFP