【12月6日 AFP】(更新)フランスのフランソワ・ドルジ(Francois de Rugy)環境相は5日、2019年中の燃料税引き上げを全て断念すると表明した。フランスではここ数週間にわたり、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)政権の政策により所得が減少したと主張する人々による暴力的なデモが続いており、8日にも全土でデモが予定されている。

 ドルジ環境相はテレビ局BFM-TVに対し、来年1月1日から予定されていた燃料税引き上げは全て「2019年中の実施を取り止める」と表明。その目的として、政府が抗議行動の鎮静化を待って燃料税引き上げ案を再び導入するのではとの不安を和らげるためと説明した。

 一方でフランス政府は、8日にパリ市内および仏国内各地で予定されている抗議行動で暴力行為が発生する可能性もあると指摘。燃料税引き上げに対する抗議に端を発した「黄色いベスト」と呼ばれる一連の抗議デモに関連してすでに4人が死亡、数百人が負傷しており、エリゼ宮(Elysee Palace、大統領府)関係筋はAFPに対し、「われわれが大規模な暴力行為を懸念するのも当然だ」と語った。

 先月17日に発生した燃料税引き上げに抗議するデモはその後、財界寄りとみられているマクロン政権の政策への反対運動へと拡大。デモ参加者たちからはマクロン氏が一般市民の苦境に一切関心を持っていないとの声も上がっている。(c)AFP