【12月5日 時事通信社】ポンペオ米国務長官が4日、60日以内に「完全かつ検証可能な形」で中距離核戦力(INF)全廃条約を順守するようロシアに対応を迫った。応じない場合は「米国は義務の履行を停止する」と破棄へ進む方針を表明。「執行猶予」を与えた形だが、ロシアが順守する可能性は低く、条約は崩壊する公算が大きい。

 「片方だけが順守する2国間条約はもはや合意ではなく、ただの自制だ」。ポンペオ氏はブリュッセルで開かれた北大西洋条約機構(NATO)外相理事会後の記者会見でこう主張した。米政府関係者は「ロシアが軍事的必要性に迫られてミサイルを配備した以上、それを廃棄する可能性はほぼ皆無だ」と悲観する。

 国務省によると、米国は2014年、ロシアがINF条約に抵触する地上配備型巡航ミサイルを実験していると初めて公表した。その後、専門家や高官級協議でミサイル開発に関与した企業名などの情報を示し、幾度も条約違反を指摘。だが、ロシアは一貫して否定し、逆に米国が違反していると批判してきた。

 今回の「最後通告」は、米国が条約に縛られる一方、ロシアが違反を犯し、条約に縛られない中国が軍備拡張を続けていることに対する米政権の強い不満の表れとみられる。(c)時事通信社