【12月4日 AFP】ポーランドで開催されている国連気候変動枠組み条約第24回締約国会議(COP24)で3日、環境危機に直面する国々が、温室効果ガス排出量の多い富裕国に対し、支援を要請した。一方、国連(UN)は、気候変動に伴う大災害を回避するための世界の計画は「進路から大きく外れている」と警告した。

 世界各地では既に、ネパールの氷河融解から、小島しょ国を水没の脅威にさらす海面上昇まで、地球温暖化による損害が生じている。

 3日の会議には約200か国が出席。参加国は、2015年に採択された地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定(Paris Agreement)」での公約順守に向けた共通ルールの策定で合意する必要がある。

 ネパールのビドヤ・デビ・バンダリ(Bidhya Devi Bhandari)大統領は、「ネパールは山と平原から成る国だ。炭素排出量が少ない国であるにもかかわらず、気候変動から不相応に大きな影響を受けてきている」と述べ、「私たちは自分たちが犯していない過ちに対する罰を受けているように感じている」と訴えた。

 発展途上にある国々は、これまでの化石燃料使用の大半が富裕国によるものだったのにもかかわらず、こうした国々は途上国が地球温暖化に適応するための援助を十分に行っていないと不満を示している。

 パリ協定については、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が米国の離脱を決断したことから信頼が大きく損なわれた上、交渉が長引く中で行動に向けた政治的意志が徐々に弱まっているのではないかという懸念も出ている。3日には、主要20か国・地域(G20)から出席した首脳級の代表は一人もいなかった。

 国連のアントニオ・グテレス(Antonio Guterres)事務総長は各国に対し、急激に進む地球温暖化の回避に向けた道筋を定める計画は「進路から大きく外れている」と警告。「世界中に大惨事をもたらしている気候の壊滅的な影響を目にしていながら、取り返しのつかない、悲惨なまでの気候変調を食い止めるために、われわれは十分なことをなせていないし、十分な速さでの前進もできていない」と指摘した。

 この日の会議には著名人も登場。米カリフォルニア州前知事のアーノルド・シュワルツェネッガー(Arnold Schwarzenegger)氏がサプライズ演説を行った他、野性生物ドキュメンタリー制作者のデービッド・アッテンボロー(David Attenborough)氏が人類を代表しての行動を呼び掛けた。(c)AFP/Patrick GALEY