【12月12日 CNS】中国・吉林省(Jilin)吉林大学(Jilin University)恐竜進化研究センターはこのほど、「長春竜(Changchunsaurus)」の歯のエナメル層の中に波紋構造を発見したとする最新研究成果を発表した。

「長春竜」は、同大学博物館の研究チームが吉林省中部地区で発見した新種の恐竜で、全称を「嬌小長春竜」と呼び、体長約1メートル。「長春竜」の化石は、これまでに発見された鳥脚類恐竜の化石の中で、最も保存状態が良好だとしている。

 近年、同センターの研究チームは、「長春竜」の総合的な研究を行って来た。広い角度から成長リズム、個体の発育、生態の構造などの特徴を研究し、「嬌小長春竜」の古代における生態モデルを完成し、関係する恐竜の進化の歴史を明らかにすることが仕事だ。

 同センターの陳軍(Chen Jun)副研究員は、「このエナメル層内の波紋構造の特徴は、かつてはハドロサウルスの類の背の高さで、かつ後期の恐竜の中でのみ発見されていた。今回、私たちは長春竜でこの特徴を発見したが、これまでの化石の記録に比べ、少なくとも2000万年から3000万年は早まったのではないか」と語った。

 研究チームは長春竜の顎の骨と歯を大量に収集し、骨組織学的薄片を制作した。交叉法を用いて、顕微解剖の構造的特徴の面から、長春竜の歯の発生、発育、摩耗、脱落から最後の置き換えまでの全ての過程を観察し、同種恐竜の歯の進化データを取得した。その研究成果は、恐竜の進化とその歯と食事、生活環境などを知る上で、極めて重要な意義があるという。

 このほか、研究者らが長春竜の歯のエナメル層の中で初めて波紋構造を発見したことは、現在、ハドロサウルス以外の恐竜では初めての発見で、同類の顕微解剖の構造的特徴は歯の進化の中での最も古い化石であり、エナメル層の波紋構造は、白亜紀中後期に進歩した鳥脚類の板状歯系のみが持つものではないことを表している。(c)CNS/JCM/AFPBB News