【12月1日 AFP】(更新)アルゼンチンの首都ブエノスアイレスで11月30日開幕した20か国・地域(G20)首脳会議で、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン(Mohammed bin Salman)皇太子がロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領から熱烈な歓迎を受けた。一方、欧州各国の首脳は、サウジ政府に批判的だった記者の殺害をめぐり同皇太子に警告を発した。

 また、会議では、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領に対し、貿易と気候変動に関するG20の過去の団結を破壊したとの非難が集中。このほか、会場外ではアルゼンチン政府への抗議デモが行われた。

 サウジアラビアは、トルコ・イスタンブールのサウジ総領事館内でジャーナリストのジャマル・カショギ(Jamal Khashoggi)氏が殺害された事件をめぐり、同盟諸国の反感を買った。だが、ムハンマド皇太子が事件から2か月足らずで開かれたG20首脳会議に出席したことは、同皇太子が権力を握り続ける意向であることを示している。

 会場では、プーチン大統領とムハンマド皇太子が満面の笑みをたたえ、まるで久々の再会を果たした友人同士のように熱い握手を交わす一幕があり、この様子はインターネット上で即座に話題を呼んだ。この際、トランプ氏は2人の様子を暗い表情で見つめ、中国の習近平(Xi Jinping)国家主席は無表情のまま立っていた。

 会場のマイクが拾った会話の内容によると、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領はムハンマド皇太子を批判的な態度で迎えたもようだ。同皇太子から「心配しないでほしい」と言われたマクロン氏は、「心配はする。私は心配だ」と応じていた。

 仏大統領府は、マクロン氏はムハンマド皇太子に対し、カショギ氏殺害事件と、サウジが主導するイエメンでの軍事作戦について懸念を伝えたとしている。

 ムハンマド皇太子が、トランプ大統領と同大統領の娘イヴァンカ(Ivanka Trump)補佐官と言葉を交わす姿も見られた。ホワイトハウス(White House)高官はこれについて、「出席したほぼすべての首脳」と交わすあいさつ程度の会話だったと説明。トランプ氏は「話し合いはなかった。するかもしれないが、していない」と述べた。

 このほか、テリーザ・メイ(Theresa May)英首相は首脳会議に先立ち、英スカイニュース(Sky News)に対し、イエメン情勢とカショギ氏殺害事件について同皇太子を追及する意向を示した。

 首脳会議ではトランプ氏が非難を浴びたが、同大統領は、今会議に合わせてメキシコ、カナダ首脳と新貿易協定「米・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」に署名し、大きな前進を遂げている。さらに同氏は、習主席との夕食を前に、自身が口火を切った中国との貿易戦争について「良い兆候」があると強調した。

 一方、プーチン大統領は、ロシア治安当局がウクライナ艦船3隻を拿捕(だほ)した問題で圧力を受ける中、制裁と保護貿易主義が「敵意に満ちた」形で使われているとの非難を展開。2日間の会議で対決姿勢を取る様子を見せた。トランプ氏がG20首脳会議が推進してきた安定性を引き裂く中、プーチン氏による批判は、トランプ氏の一国主義に対するマクロン氏の批判とも相まって、G20が抱える問題を一段と膨らませるものだ。

 アルゼンチンで厳しい経済危機が続く中、会場付近で行われた抗議デモの参加者らは、国民が物価高騰と失業に苦しむのを尻目に、政府はG20首脳会議のため巨額の支出してきたと非難の声を上げた。(c)AFP/Jitendra JOSHI