【11月30日 AFP】ボクシング、WBC世界ヘビー級王者のデオンテイ・ワイルダー(Deontay Wilder、米国)は、12月1日に迫った元同級王者タイソン・フューリー(Tyson Fury、英国)との無敗同士によるタイトルマッチで、母国を再び重量級ボクシングで熱狂させようとしている。

 現在ワイルダーが保持しているベルトは、過去半世紀でソニー・リストン(Sonny Liston)氏、モハメド・アリ(Muhammad Ali)氏、ジョージ・フォアマン(George Foreman)氏、ジョー・フレージャー(Joe Frazier)氏、そしてマイク・タイソン(Mike Tyson)氏といった名だたる王者たちが締めてきたものであり、米スポーツ界にとっては欠くことのできない時代を思い起こさせるものとなっている。

 しかし、このタイトルを2015年から維持し続けているワイルダーは、通算8度目の防衛戦を控えている現在も先駆者たちほど名の知れた存在ではない。33歳にして40戦無敗39KO勝ちという華々しい記録を打ち立てている一方で、その傷一つない成績と紛れもないパンチ力は、米国のスポーツファンの心をとらえきれていない。

 王座に君臨して3年が経過した現在ですらも、米プロバスケットボール協会(NBA)のスーパースター、レブロン・ジェームズ(LeBron James)と間違えられることがある中で、ワイルダーは27戦全勝19KO勝ちを誇るフューリーとの今週土曜日の試合で、そうした状況を変えられる可能性がある。

 米ロサンゼルスのステープルズ・センター(Staples Center)で勝者に高額のファイトマネーが転がり込むこの一戦は、ワイルダーが大勢の観客に存在感を示す絶好の機会になるからだ。

 ペイ・パー・ビュー(PPV)でテレビ中継される注目のファイトに臨むのは、ワイルダーにとってはこれが初めてで、トラッシュトークで知られ、ジプシーキング(Gypsy King)を自称するフューリー戦で圧倒的な強さを見せつけることができれば、興行面で大きなアピールにつながる。

 28日にロサンゼルスで行われた記者会見で、ワイルダーは「米国には俺という無敵の男がいる」「米国には地球上で最高の悪玉がいる」と豪語すると、「ここまでくるのにハードワークをこなしてきた。身を粉にして練習してきたんだ。別の国から来るやつに、これまで俺が積み上げてきたものを奪い取られることは絶対に許さない」と意気込んだ。

 ワイルダーとフューリーはこの試合に勝った方が、IBF・WBA・WBOのヘビー級タイトルを持つアンソニー・ジョシュア(Anthony Joshua)との統一戦を待つ最前列に並ぶことになる。大金が動くジョシュア戦の前には、乗り越えるべきいくつかの障壁が立ちはだかることになるが、この統一戦を望む声は抑えきれなくなるだろう。