【11月29日 AFP】英政府は28日、欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)後の英経済に関する報告を発表し、想定したいずれのシナリオにおいても経済状況が悪化するとの見通しを示した。また、中央銀行のイングランド銀行(Bank of England)は同日、EUと離脱協定を結ばないまま離脱を迎えれば、金融危機が起こるとの警告を発した。

 政府報告によると、EUと合意した離脱計画に沿ったシナリオでも、国内総生産(GDP)は15年間で約3.9%減少する。英政府とEUが合意した離脱協定案には曖昧さが残り、政府報告は同案を完全に反映しているわけではないが、このシナリオはおおむね計画に沿ったもの。

 また、EUとの合意なしの離脱では、減少幅は9.3%に達する可能性がある。

 イングランド銀行は、EUとの合意なしにブレグジットを迎えた場合、金融危機が起こり、通貨ポンドは25%、住宅価格は30%それぞれ下落するとの見通しを示した。

 市場関係者によれば、政府報告の一連のシナリオは暗い見通しを示す一方、市場予想を上回っており、28日の英ポンド相場は上げに転じた。

 フィリップ・ハモンド(Philip Hammond)財務相は、英国とEUの間で25日に合意した離脱協定案は、ブレグジットに伴う負担を最小限に抑える最善の方法だと述べた。

 ブレグジットが4か月後の来年3月29日、英議会による協定案の採決が来月11日に予定される中、テリーザ・メイ(Theresa May)首相は、向こう2週間足らずで協定に反対する議員の支持を取り付け、ブレグジットに伴う大混乱を回避することを迫られている。(c)AFP/Robin MILLARD