【11月28日 AFP】米グーグル(Google)が中国向けに検討している検閲版の検索サービスについて、同社の従業員らは27日、開発中止を求める同社宛の公開書簡を公表した。

 グーグルのスンダル・ピチャイ(Sundar Pichai)最高経営責任者(CEO)は先月、同社が中国での検索エンジン提供を検討していることを初めて公に認め、同社は競合他社に比べ「より良い情報」を提供できる可能性があると述べていた。

 グーグルが中国向け検索エンジン開発計画「プロジェクト・ドラゴンフライ(Project Dragonfly)」を進めているという匿名の同社従業員の話が報じられたことを受け、グーグル従業員や国際人権団体のアムネスティ・インターナショナル(Amnesty International)とヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)、国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団(Reporters Without Borders)」は同社を批判するとともに、開発中止を求めるオンライン嘆願への署名を呼び掛けている。

 グーグル従業員90人が署名した公開書簡は、「ドラゴンフライへの反対は中国に対する反対ではない。どこであろうと権力者が弱者を虐げるのを助長する技術に対する反対だ」「中国におけるドラゴンフライは、昨今の不安定な政治情勢の中で危険な先例を設けることになり、他国に同様の譲歩を求められた場合、グーグルが拒否しにくくなる」と訴え、9万4000人以上の同社従業員に署名を呼び掛けた。

 アムネスティ・インターナショナルは27日、検閲で問題ありとされたコンテンツを結果から除外するよう設計された検索アプリは、全インターネットユーザーのグーグルに対する信頼を損なう恐れがあると公式サイトで警鐘を鳴らした。

 アムネスティ・インターナショナルのテクノロジーと人権の専門家、ジョー・ウェストビー(Joe Westby)氏は、「これはグーグルにとって重大な分岐点だ」と指摘し、「世界ナンバーワンの検索エンジンとして、グーグルは中国政府のディストピア的な代替案を支持するのではなく、誰もが自由に情報にアクセスできる場としてのインターネットのため闘わなければならない」との見解を示した。(c)AFP